どんなときも……
申告の手続きをしてください、という役所からの書類が、アパートに届いていたのがいくつかあった。
部屋でひとり座って前かがみになりながら、下に広げたその書類をなんども読み返す。
ことばが曖昧で、説明も中途半端ではないか、これじゃよくわからないなぁ、それともぼくがバカなのか、と首をかしげる。
どこへ、なにをどう、記入すればいいのか、それがわからなければヘルパーさんにも指示のしようがない。なんとか理解しなければ…。
ぼくひとりではお手上げなので、訪問中のヘルパーさんにもみてもらう。
「ん? これは……」
首をかしげていたが、
「役所で聞きながら、書いてもらったらどうでしょう」
ぼくも、そうだ、その手があったんだ。そうしよう、と思った。
文を解読するのに必死になり、気をとられていた。
それでしばらく放っておいて、ほかに目を移し、できることを先にやる。
そうしていれば目の前の別なしごともはかどり、気持ちによゆうが生まれ、視野が広くなり、そのようなことぐらいは、すぐに気づくようになる。
役所へ用事があったのはきのうだった。雪が残る道を電動車いすでヘルパーさんについてもらって行った。ついでにその窓口に寄る。
係のひとに説明を聞きながら、ぼくはヘルパーさんに代筆で記入内容を指示する。するとすらすら進んで、あっという間に済んだ。
なぁんだ、簡単じゃん。なんどか読んでもわからなかったら、はじめから、こうすればよかったんだ…。なんでもっと早く、気づかなかったんだろう。
あたりまえに日々を過ごしている中でも、あることを気にしはじめるとすごく悩み、ほかのことに目がいかなくなってくる、ということは、よくあることだろう。
なんとかしたいと思っても、すぐにはどうにもならないことだってたくさんある。いまできない状況でそれを気にばかりしていては、同じところをなんども回るだけで前には進まない。エネルギーと時間をロスしてしまうだけだ。
ニュース番組で天気予報が流れている。
お空だって、晴れの日もあれば、雨の日もある。それをコントロールすることはできないのだ。
やるべきしごとがたくさんなときも、なにがあっても、そのときそのときで対応していくしかない。それが人の営みなんだ。
だからどんなときも、気持ちだけはゆったり構えて、日々を過ごしていきたい。
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